同人界のガラパゴス 9/3 MGM2.18レポート

歴史は同じ創作同人誌即売会のコミティアよりも長い。

詳しくはオフィシャルサイトの「MGMとは」を読んでいただけるといいと思うのだが(http://mgm2-official.com/aboutmgm2/)、30年を超える歴史がある即売会というのは他にはコミケくらいなものだろう。

ただその割には、規模が小さいようにも思えた。一度クローズしての再始動なのでそれも仕方がないのだろうが、いまやビッグサイトで複数ホールでの開催が当たり前になったコミティアとは規模がかなり違う。今回は48スペースで行われた。

開場と同時に一般参加者が入場をしてくるのだが、スタートで10人ほど。動きを見ていると目当てのサークルが決まっている人がほとんどのようで、サークル主に親しげに話しかけたりスケッチブックを依頼するなど、おそらくサークルかイベント自体の常連の方なのだろうと思う。

それゆえに、初参加の私は軽い疎外感を味わっていた。そもそも目の前に人が通らない、通ったとしてもスペースの机上を一瞥もしない人ばかり。これは久しぶりにワーストの更新、それどころかゼロもあるぞ、と思い始めていた。

というのも、「MGM」がマンガ同人誌即売会である以上、今回胸を張って持参できる本はコミティアで出した「WEBライター三原まりん」だけである。CROSSNEXTの場合、種類を持参することで引っかかりを増やす(そのトリガーには飲食本やAV業界本がなることが多い)のが即売会でのパターンなので、今回は苦戦は織り込み済みではあった。あったのだが・・想像以上に来場者が目の前を通らない。一般入場者は50人ほどではないかと思う。この感覚はコミックNEXTにも匹敵するものだった。

周囲のサークルの方々の作品を見ていて思ったことがある。「古き良き時代の同人誌」を思わせるようなタッチの絵柄の方が多く、装丁を見ると多色刷りの方もいた。いわゆる「コミケでは埋もれてしまうような創作物」がここでは主役なのだ。そして、そういうサークルさんには常連とおぼしき方が居てスケッチブックを頼んだりもしている。コミティアなどでもスケッチブック依頼を見ることもあるのだが、ここではそれ以上だ。多くの人がスケブを描いているし、それ目当てと思われる人も多く見受けられた。

そう、ここには「かつての即売会」の姿がそのまま残っていたのだ。まさしく「ガラパゴス」である。私ははじめての体験にカルチャーショックを受けた。

それを象徴するような出来事が一つある。今回、作品を中身を見ずに買っていただく方が何人かおられた。中身確認しないでいいんですか?と尋ねると
見本誌コーナーで読んで面白かったので
これは非常に嬉しい一言だった。考えてみれば、コミティアでも文学フリマでも見本誌コーナーから来る人はいるのだろうが、こうやって直接言ってくれるのは嬉しかった。来場者はおそらく百戦錬磨なのだろう。見本誌をじっくりと読み、買う作品を定めるということをしっかりとやっているということなのだと思う。そう考えると、コミティアや文学フリマよりも見本誌の価値は重いように思う。でもこれは、規模が小さかった時代の即売会では当たり前だったのかもしれない。

正直、本が売れるイベントではない。バリバリ人が来るイベントでもない。今回は売上部数が2桁に届いていないのだがこれは仕方がない。50サークルほどの規模のイベントにはいくつか参加しているが、このイベントとは比較にならないくらいの頒布数を出している。それでも今回非常に面白いと思ったのは、来場者とサークルの距離が近く、昔のままの場をみんなで作り上げていること。奥の方にあった喫茶ルームではサークルも一般もみんなでお茶を飲んでいたがこれもそういう空気がなせることなのだ。

たまにはこういう、売上などを考えない同人誌即売会もいい。興味があればぜひご参加いただくことをおすすめする。一般入場は無料、サークル参加費も格安だ。当サークルは次回開催は違うイベントに出る予定なのでパスだが・・

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